思いっきり手を振っても、悠は離してくれなかった。どうせ昨日のこの手は彼女さんの手を握ってたんでしょ。

「ごめん、なさい……お願いだから、はなして、、、ごめん、なさい」


「どうして謝るの?ねぇ、いと、一回落ち着こう。今、何を考えてる?」




『時刻は7時20分になりました。本日の特集は―』


悠が毎朝付けている朝のニュース番組。この特集が始まるのが悠の出勤の合図。


「悠、時間。行ってらっしゃい」


「…いと、、何かあったらすぐに連絡すること。あと、前々から言ってたけど今日は椎名たちが来るからね。19時には家にいてね」



悠は手を離すと、コートを羽織って家を出た。




ふぅ、、、


ペタリと床に座り込んでしまった。

でもさ、よくよく考えてみれば当たり前だよね。

顔はものすごく整ってるし、体つきも綺麗で、家事もなんでもできるし、一つ一つの行動も丁寧。おまけに仕事だって引っ張りだこ。


私が隣にいていい存在じゃないことなんてわかってる。