「あれ、赤城先生[悠さん]の彼女さん?!」


二人の声がハモった。

でも、私、悠からそんな話聞いたことない。


「わかん、ない。初めて、見た」


そうなんだ、と二人ともしぼんでいく。でも、そんなのどうでも良かった。

悠に彼女がいるなんて聞いてないし、それなのに、この前は片腕で抱き寄せてくれた。
彼女なんかじゃない、この私を。


なんなの。意味わかんない。


だったら遅くなるじゃなくて彼女に会ってくるでいいじゃん。



怒りなのか悲しみなのか。よく分からないものが込み上げてきて、涙が溢れそうになる。

でも二人の前では泣きたくなくて、


「また月曜日ね、!今日はありがと!ばいばい!」


と早足で家に帰った。