―翌日―


誰に話すこともできずに夜が明けた。


約束をしたから、今日は悠が来る。


診察して、採血して、悠はいつも通り「またあとで来るね」と部屋を出ていく。

悠には、言えない。今の『幸せ』は悠が作ってくれたモノだから。





「おはよう、絃ちゃん」

朝の回診はもちろん夜星先生。いつもより、少し明るい顔なのは気のせいだろうか。


「ん?どうしたの?ご機嫌ななめかな。」


「べつに、」


「そっか。まあ今日は良いニュースがあるから!はい、シャツあげて」



良いニュースってなんだろう。退院はまだ出来ないんだよね。だったら、べつに良いことないけど。