「急に来られたらびっくりするよな。で、俺がさっき入れ直したけど、点滴はどうした?」


言わないのか、言えないのか。
職業柄どちらかはっきりしてもらわないと落ち着かない。

ただ相手は高校生。怖がらせるなんてことは出来ない。


「………」


んー?とか、どうした?とか、背中を擦りながら聞くけど何も答えてくれない。

病室に来てからもう1時間近く経っている。そろそろ俺も救急に戻らなくてはならない。



「まあ、今日は気分が乗らなかったか?でもな、この点滴で少しずつ数値も良くなってるから、な?」


な?は念押しで言ったつもりだったが、少し語気が強くなってしまい絃ちゃんの体がビクリと反応した。

こんな調子じゃあ樹も悠も心が折れかけるわな。



結局なにも聞き出せなかったが、頑張れよ、と頭を撫でて病室を出た。