大祐の、一際大きな声が病室に響いた時、絃ちゃんが目を覚ました。


「んぅ、、っ、!?」


「あぁ、絃ちゃん起きたか。びっくりしたよな。お水飲もう」

さりげなく大祐の腕と絃ちゃんの腕を離し、ペットボトルの水を渡した。



「い、らない、、だれ」

誰、と目を向けたのは大祐。


「はじめまして、かな?一己と、律と絃のお父さんの友達の広持です。今の気分はどうかな?」


「……べつに、、普通、です。なんで、名前知ってるんですか」


「お父さんからよく話を聞いてたからね。まあ、私は絃の顔を見られたからもういいよ。お誕生日おめでとう。点滴は自分で抜いちゃダメだからな」


話の途中から大祐の胸ポケットに入っているPHSが震えている。言葉を切ると、お大事に、と言って早々に病室を出ていった。