にっこりと笑う衣吹さんに胸がキュッとなった。


そうやって、仲良くしてこようとするのは衣吹さん……ううん、桜夜組の人だけ。


ほんとうに……あたしにはもったいないくらいの人達だよ。


「どうしたの?」

「ううん。何でもない」



注文して、席についたあたし達はハンバーガーを食べ始める。


「席に空いてて良かったね」

「うん」


あたしの前に座る衣吹さん。

今日はメイクしてて、片方だけ髪を耳にかけてる姿は本当に大人っぽくて。

ケチャップをペロリと舐める仕草なんて、大人っぽいを通り越してセクシー。


あたしにはそんな色気出せない。




♪〜♪♪〜


近くで聞こえた曲。

鳴り止まないから電話かなって思ってたら、衣吹さんがカバンの中を漁り出した。


「ごめん。私」


「ちょっと出るね」ってあたしに断りを入れた衣吹さんは、スマホを耳に当てる。