「かぐ、ら……さん……?」


どうして……?


「汗やべぇな」


耐性が付いてるからって、もうあたしの部屋にいなくてもいいのに。

匂いが薄いとは言え、ずっとこの匂いを嗅ぎ続けるのはきっと辛いはず。


言いたいことはたくさんあるのに言葉にする気力が無くて、もう一度神楽さんを見つめる。


ドキドキと早くなる心臓。


「……っ、……」


神楽さんを見てると、また、あの甘い匂いを嗅ぎたくなる。


苦しくて荒くなる呼吸に、肩で息をするのが精一杯。



「そんなに辛えならスキンシップするか?」

「すきん……しっぷ……」


意味を理解しないままオウムのように神楽さんの言葉を繰り返す。



「……羽瑠。まだ意識ある?」


意識……?

わかんない。


頭がボーッとする。



「触ってほしい?」


ドキンッと心臓が跳ねた。


「……え…………?」

「触れることによって羽瑠が辛くなくなるんだったら触れていいって組長から許可が降りてる」