「この子、身体中にアザがあるの」
やはりそうか。
あの時、橋の上で腕を引いた時、制服の下からアザらしきものを見た気がした。
虐待に耐えきれず、命を絶とうとした……?
「でも、ちょっとおかしいの……」
「おかしい?」
「うん。……ね、ちょっと良い?」
そう言った衣吹は少女の長い髪を掬い上げた。
瞬間、
少女は勢いよく飛び退け、誰もいない隅の方に逃げる。
その顔は真っ青に青ざめ、恐怖に支配されたものだった。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさいっ……」
「どうしちゃったの!?」
「ごめんなさい……部屋から、出ないから……ごめんなさいっ」
子供みたいに泣きじゃくる少女。
近づけばひたすら謝り続ける。
何をそんなに怯えているんだ。