怪我……?
あぁ。もしかしてこの包帯の事か?
「大した事ねぇよ。これくらい」
「あたしも、行く……」
そう言った羽瑠は俺に近付いて、俺が持っている盆に触れる。
手伝おうとしてくれてるのか?
すげー急展開。
「不安定だからコップ持ってくれたら助かる」
俺の言葉通り、素直にコップを2つ持つ羽瑠。
てか、この怪我の事わかってない……?
まぁ良いか。
知らないなら知らないで。
襖を開けると、この部屋の前を通る後藤と目が合った。
「あ。今食べ終わったんですね?」
後藤の声が聞こえた瞬間、羽瑠の身体が固まった。
おまけに羽瑠の存在に気付いた後藤が、覗くように確認するから余計に。
「一緒に行くんですか?」
「ああ。手伝ってくれるって」