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俺が食い終わって数分後。

羽瑠の箸が止まった。


「もう腹いっぱいか?」


小さく頷く羽瑠の皿の上には、まだ半分は残っていた。


まぁ……これくらい食えば十分か。


「水は?おかわりする?」


頭を横に振るだけで、声は出してくれない。



いらねぇんだったら下げるか。

立ち上がって、盆を取りに羽瑠がいる中央に行く。


「……」


逃げようとしない羽瑠の視線は、下を向いたまま。


怖がらねぇんだ……。

盆を取り、自分のものと重ねて襖に手をかける。



「下げてくるから、後は楽にしてろ。夜になったらまた呼びにくる」


襖を開けようとした瞬間、か細い声が聞こえた。


「手……」


……は?

驚いて振り返ると俺の方を向く羽瑠がいた。


「怪我……してる……」