羽瑠を怖がらせないよう、半径1メートルの距離でしゃがみ込んだ。
「飯の時間だぞ。食ったか?」
案の定目は合わない。
だが、首を振って返事はしてくれた。
「お嬢と約束したんだろ?」
「……」
はぁ……。だんまりか。
「みんなと食うのが嫌なら飯持ってくるけど……」
「……」
「ちょっと待ってろ」
そう言ってこの部屋を後にした俺は居間の方に向かう。
「あ、帰ってきた。何してたんですか?」
米を頬張りながら喋る後藤。
もう半分くらいは食い終わっている。
「羽瑠ん所に持って行くから、お前先食ってろ」
「神楽さんは食べないんですか?」
「食う。あいつと一緒に」
あの空気の中で羽瑠だけ食わせ、俺はただ監視するように部屋にいたら間が持たねぇからな。