「それはどっちの意味で?」


後藤の視線が包帯で巻かれた俺の手に移動する。


「うるせぇよ」

その手を隠すようにポケットに入れ、灰皿で煙草を潰す。


「やるだけやるさ。組長に頼まれた事なんだからな」


それに、その時の事は組長と話してある……。





   ♢♦︎♢♦︎♢


11:30〜13:00までの間は姐さんが作る昼飯が食える。

12時頃、居間に行くと下っ端の奴らが何人かいるだけであいつの姿は無い。


「ん?食べないんですか?」


早くも自分の茶碗を持って席に着こうとする後藤を横目に、俺はこの部屋から出て行く。


「あら慧くん。今日は食べてくれたの?」


部屋から出た瞬間、偶然にも姐さんと鉢合わせ。


「いや……これから、なんですけど、羽瑠見ませんでした?」