「神楽さんと千葉さんってどっちが優れてるの?」
偶然千葉さんがあたしの視界に入って。
本当に何気なく言った言葉。
「そんなの神楽に決まってるじゃん」
衣吹さんは当たり前のようにそう答えた。
……だけど。
睦美さんが花瓶の水を変えようとしていたところ、手を滑らせてしまったのか真っ逆さまに落ちて行くのが見えた。
その瞬間、誰もが“割れた”って考えたと思う。
「……」
でもその音は聞こえなかった。
その花瓶は千葉さんによって守られ、割れずに済んだのだ。
しかも、どうやったらそうなるのか聞きたくなるくらい超人で。
水の一滴も溢れていなかった。
「……嘘でしょ」
呆気に取られているあたしの隣でそんな声が聞こえた。
たぶん、衣吹さんも一部始終を見ていたんだと思う。