「……1本だけ良いですか?」
「あぁ」
神楽さんの気が変わらない内に煙草に火を付けて、誰もいない方に向かって煙を吐く。
「どうやらそいつら夜に行動してるらしい」
「僕達にバレないように?」
「それもあると思うけど、神楽さん達の名前使って好き勝手やってるの居酒屋が主だから」
そう声を出したのは神楽さんの隣にいた奴だった。
情報源こいつ?
「食い荒らしては金も払わず出て行くらしい。“俺はこのシマのトップ、神楽だぞ!死にたくなきゃ従え”って。全部聞いた話だけど」
「っ、」
思わず笑いそうになるのを我慢する。
笑うな。絶対笑うな僕……!
“神楽だぞ!”
“死にたくなきゃ”
って……アホすぎる。誰だよそいつ。
しかもトップって……組長いんのにっ……くく。