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遠くの方で聞こえる蝉の鳴き声を聞き、あたしは石碑の前で両手を合わせた。
お父さん、お母さん、来るのが遅くなってごめんね。
あのね、あたしね、新しく家族ができたんだよ。
みんな素敵な人達で毎日が楽しいの。
第二の性を恨んで、この世界が大嫌いだったあたしに手を差し伸べてくれたの。
肩書きなんて関係ない。とても素敵人ばかり。
いろいろ教えてくれた。
幸せをくれた。
かけがえのない人達。
……あとね、大事な人もできたの。
神楽さんって言ってすごく素敵な人なんだぁ。
かっこよくて、強くて……すごく優しい人。
あたしの大好きな人。
もう死にたいなんて思わないよ。
だって
こんなにも素敵な人達に出会えたんだもん。
だからそっちに行くのはもう少しだけ待っててね。