血だらけの後藤さんが神楽さんの脚を掴んでいた。
もう胸が痛くて張り裂けそう。
涙がボロボロと溢れて止まらなくなる。
「怖いんです。みんなが血を流してると……死んじゃうんじゃないかって……」
あたしの大好きな人が。
桜夜組の人が。
帰らない人になっちゃうんじゃないかって。
怖くて怖くて、たまらなくなる。
「あたしも桜夜組の一員です……仲間がやられれば助けたいし守りたい。みんながくれた温もりを……今度はあたしが命をかけて返す番です」
ひとりぼっちだったあたしに居場所をくれた桜夜組の人達。
笑って泣いて、喧嘩して。
あたしに普通の日常をくれた。
───今がその恩を返す時。
「だからと言って自分を蔑ろにして良いわけじゃない」
「そっすよ……羽瑠は桜夜組の仲間であり……家族なんだから……」