「少しでも違和感があったらすぐ言ってね」


力強い眼差しに頷こうとしたら、桐龍組の人がこっちに向かって倒れてきた。

並べてあったポールなどがバラバラに散乱するほどの勢いで。



「何処行こうとしてんだよ」


そう言い放ったのは神楽さん。

相変わらず殺気むき出しで、神楽さんのことを好きなあたしでさえ身震いしてしまいそうなほど。



「絶対そこから出るなよ」


そう忠告されて、再び争いの中に飛び込む神楽さん。

強いって言っても多少なり傷を負っていた。


まだまだ桐龍組の人は多い。


あたしも……何か力になりたい。



そう思った時。

神楽さんが木の棒で殴られる瞬間を目撃してしまった。




「……っ、……」


恐怖で息が出来なくなる。

視界がどんどん真っ暗になっていく。



ふらつく神楽さんの背後から、もう1人別の人が狙っているのを見つけた瞬間、あたしは走り出していた。