「若も一緒にどうです?」
「興味ない。おまえらだけでやってろ」
あたし達に背を向けて歩き始めた若頭。
どこかに行くのだろうか。
「ほんと連れないなぁ」
桐龍組の人がそう言ったかと思ったら、猛スピードで走ってくる人影を見つけた。
キラリとシルバーに輝く髪色が、火花でも起こしてるかのようにパチパチと残像を見せる。
それはまるで───弾丸。
一目でわかった。
敦雅さんが来たのだと。
「敦雅さんっ……!」
「おまえ無茶しすぎ」
敦雅さんはあたしの近くにいた男の人を殴り飛ばし、縛りつけられたロープを解いてくれた。
「い、衣吹さんがあっちに……!」
「知ってるわ。今千葉が行ってる」
振り向けばいつの間にか千葉さんが衣吹さんのロープを解いていたんだ。