「や、やめっ……な、何しようとしてるんですか!」

「強制的にヒートを持ってこようとしてんの。見てなよ。その後はキミだから」



心臓がドッとした。


強制的なヒートって……ありえない。


この人達はΩを人間扱いしてないんだ。



「ほら口開けろ」

「んんっ」


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

何も出来ないなんて。

ここで衣吹さんがやられるのを見てるだけなんて。


そんなの絶対嫌……!


「やめて!お願い!」


懸命に抵抗する衣吹さん。

その姿が、あの時守れなかったお姉さんの姿と重なって涙が溢れた。



嫌だ。

また誰かが泣く姿なんて見たくない。


守るって。

強くなるって。


そう決めたのに。


もう後悔はしたくないのっ……!




「やめて!!」


咄嗟に近くにあった三角コーンに手を伸ばして、あたしを拘束してる人にそれを投げつけた。