「来ないで……!」

「手、震えてるけど」


徐々に近付いてくる若頭。

カツン、カツンと、規則正しい綺麗な足音を鳴らしながら。



「怖いなら従えばいいのに」


その声に気を取られていたせいか、背後から近付いてくる人に気付かなくて。

持っていた棒を弾き飛ばされた。



「あっ……!」

「物騒な物持つなよな」


その瞬間、コンクリートに叩きつけられて身動きが取れなくなる。


「いっ……、」

「あとでたっぷり可愛がってあげるんだから大人しくしてろって」


この声……衣吹さんを探してる時にあたしを地面に押さえつけた人だ。

この人も桐龍組の人だったんだ……!



「ちょっ、やめて……!!」


衣吹さんの声に視線を上げると、3人の男の人に囲まれていた。

その中の1人が薬を持ってるのを見て、ヒュッと喉が潰れるような感覚に落ちる。