圧をかけてる様子もなく、普通の日常会話のような淡々とした声。

なのに、その声のトーンが怖く思えるんだ。



「こ、これ以上近付かないでください……!」


数十メートル先の若頭に向かって叫んだ。


「近付いたらどうするの?」

「これで退治します」

「退治って……」


フッと若頭が笑えば、背後にいた幹部達も一緒になって笑う。


「なっ何がおかしいんですか……!」

「ごめんごめん。その棒1つで退治出来ると良いね」


悔しいけど完全にバカにしてる。

だけどあたしにとっては立派な武器なんだ。




「……っ!」


若頭が何か合図をしたように見えた。


その瞬間、3人が一斉にあたし目掛けて来るから思いっきり棒を振った。

闇雲に振った棒はコンクリートに当たり、激しい音を響かせる。