夢と現実の中間。
ぼんやりと戻りゆく意識の中、身体が冷たくなる感覚に一気に現実世界に引っ張られた。
コンクリートに寝転がっていたあたしは勢いよく身体を起こし、辺りを見渡す。
「っ……、」
その時お腹がズキッと痛んで、気絶する前の記憶が蘇ってきた。
あたし……どこに連れてこられたんだろう。
途中で止めた視界を広げようと再び見渡すと、鉄鋼物やポール。
三角コーンなどがあるから、たぶんここ、倉庫かなにかだ……。
そう思った瞬間。
「羽瑠ちゃんっ!」
え。
聞き覚えのある声に振り返えれば、どこか柱のような場所で拘束されている衣吹さんを見つけた。
考えるより先に身体が衣吹さんのもとに駆け寄る。
「衣吹さんっ……!」
よかった。
衣吹さんいた……!
安堵でいっぱいになって、涙で視界がゆがむ。
「どっか痛いところ無い?」
ペタペタと身体を触ってどこか怪我をしてないか探す。