「は、離して……!」
そう声を出せば少しだけ押さえつける力が弱まったけど、逃げれるような力加減じゃない。
「は?女?」
帽子を取られれば最後。
まとめていた髪の毛が、重力で全部下に落ちてきた。
「うっわ。ラッキー女じゃん。しかもΩの」
声のトーンが少し高くなった。
それだけで嫌になる。
Ωをオモチャにしか見てない声。
「なぁこいつも連れてかね?」
「はぁ?絶対怒られるって」
そんな会話をしてたかと思ったら、突如背中のラインをなぞられて。
「んっ、や……!」
驚いて変な声が出てしまった。
「めっちゃいい声出すじゃん」
「な?連れてこーぜ?んで遊ぼ」
「じゃ。一旦寝てもらう?」
……え?
一瞬だった。
すぐに身体を起こされたあたしは、溝落ちの辺りを殴られて。
「ぅ……」
痛みに耐えきれなくて、意識がどんどん遠のいていったんだ。