気合を入れ直す為に顔を上げた途端。


ドンッと誰かにぶつかったあたしは、よろけてしまった。



「あ?何だよ兄ちゃん」


ものすごい顔で睨んでくる男の人。

明らかにガラの悪そうな見た目なんだけど………桜夜組で慣れてしまったのかあまり怖いと思わなくなったみたい。



「おい。シカトか?謝れよ?」


もう1人の男の人が出てきてあたしの腕を掴む。


……さっきから言いがかりだ。

ぶつかってきたのはそっちなのに。




「何?その目。腹立つな」

「ほっそ。力入れたら折れんじゃね?」


本当に力を入れられて痛みに顔を歪ませると、バカにするように笑われて。

ふと、もう1人の男の人が顔を近づけてきた。



「甘い匂いさせてんのお前?」

「は、まじ?こいつΩ?」


首に顔を近づけて、明らかにあたしを嗅いでる。


ひぃ……!

気持ち悪くて咄嗟に距離を取ろうとするけど、草むらの方で押さえつけられたあたしは身動きが取れなくなった。