「後藤さん!またハッキングされました……!」
「すみません!僕も固まってしまいました……!」
その声に後藤さんは後ろに移動した。
「今から抜け道教えるからこっちに集まって」
パソコンに向かう顔が真剣そのもので、カチカチと鳴るクリック音がかっこよく思えた。
こんな後藤さん見たことない。
「後藤。人手が必要なら何人かそっちにまわすが?」
「こっちは大丈夫です」
「わかった。頼んだぞ」
………。
衣吹さん、今頃どうしてるのかな……?
痛い目にあってないかな?
大丈夫かな?
どんどん募っていく不安に、居間から出ようとする。
正確には入りきれず居間の廊下側。
そこから種を返したところで、誰かに腕を掴まれた。
「下手な真似はするな」
真剣な眼差しの千葉さんがあたしの腕を掴んでいたんだ。