「そうか」
空気がとんでもないくらいビリビリする。
“組の娘”だもん。
それだけ……深刻な状態なんだ。
「神楽。動きはどうなった」
「はい。前回の報告同様、頭は未だ不在。そのせいか若頭の独断で動いており、どうやらウチを乗っ取りシマを広げようとしている模様です」
「乗っ取りか……」
組長が何かを考えるように肘を付いた。
「場所は特定出来たか?」
「すみません……!隈無く探してるんですが、サイバー攻撃されてるみたいで未だ特定できません……」
そう答えたのは後藤さん。
真ん中より後ろの方でパソコンを開いたまま、何度も何度もクリック音が聞こえる。
そして、その後にパソコンを開いた人が数人。
きっとこの人達も後藤さんと同じ情報網。
「……どうにか抜け道を見つけたのでこれから……」