「お願い!私は他の人に聞いてみるから」
その言葉を残してあたし達は別れた。
真っ先に敦雅さんの部屋に向かう。
夕飯の片付けをしに居間から出る時、遠くの方で敦雅さんらしき姿を見たから、家には帰ってきてると思う。
もしかしたら敦雅さんには連絡が入ってるかなって。
焦る気持ちから廊下を走ってしまい、曲がり角で思いっきり誰かにぶつかった。
思いっきり尻もちをついて、今更ながら後藤さんに注意されたことを思い出す。
「誰だよ走る奴は!」
怒鳴り声だけでぶつかった相手がわかった。
相手は敦雅さんだ。
怒ってるけどツイてる。
敦雅さんの方から来てくれた。
すぐに立ち上がって、謝って、事の成り行きを説明する。
「は?知らねーけど」
敦雅さんも睦美さんと同じように衣吹さんに電話するけど……。
「……出ねぇ」