あぁ。
もうダメだ……。
すごく、悲しいよ。
溢れてくる涙を拭いながら、口を開いた。
「神楽さんだけは……信じてたのに……」
辛くても背中を押してくれた。
泣き虫なあたしを見捨てないでくれた。
何度も何度も「頑張れ」って言ってくれた。
「良かったな」って笑ってくれた。
信用……してたのに。
「捨ててほしく……なかったです……」
その言葉だけを残して、あたしはその場から逃げ出した。
辛くて苦しくて……。
もうわけわかんない。
ただ頭の中にあるのは、
“神楽さんに捨てられた”
その言葉だけ。
「羽瑠っ!」
神楽さんの声にビクリと肩が跳ねる。
振り返ると神楽さんが追いかけて来ていたんだ。
だけどあたしは止まらず神楽さんから逃げる。