不意に、神楽さんの指先があたしの背中のラインをなぞった。
そしたらゾワゾワってして。
「ひあっ……」
咄嗟に口を押さえるけど声が漏れてしまった。
や、やだ……。
恥ずかしい。
「神楽さん、こんなの、聞いてないですっ……」
距離を取りたくて、神楽さんの肩を押すけどびくともしない。
「ん、うっ……」
ドキドキしすぎてどうにかなっちゃいそう。
だけどおかしいの。
全然嫌じゃない。
こんなことされても、あたしの頭の中が甘くなってふわふわするの。
感情とか理性とかもっと先のもの。
一緒にいるだけで安心したり、幸せを感じたり。
言葉では表せない、潜在的な本能レベルで
───神楽さんが好きなんだ。
チュッと首筋に唇が触れて、またビクンと身体が跳ねる。
そのタイミングでドアをノックする音が聞こえたんだ。