右手は握ったまま。


サラッと神楽さんの髪の毛が首に触れて、背中がゾクゾクするような感覚に身体が跳ねる。



「羽瑠、甘い匂いさせてるの気付いてる?」


耳元で聞こえた言葉に、あたしはフルフルと小刻みに首を横に振った。


神楽さん、あたしの匂いかいでる……?



そう思うと恥ずかしくて、身体中に力が入る。



「ま、待って……」

「嫌だ」


嫌だって……子供みたいな言い方……。


恥ずかしさと、あまりの近さに、思わず息を止めちゃって。


首筋に唇が触れた瞬間、ビクッと身体が反応した。


「んぅっ……」


思わず漏れた声に掴まれていない手で口を隠す。

だけど、呼吸がうまくできないから押さえた手を緩めて息を吸うしかない。



「はぁっ、……」


神楽さんに触れられるたびに胸がドキドキして、お腹の奥がキュンキュンする。