「組長の所に行ってくるから、お前等は自分の持ち場に戻れ」

「羽瑠ちゃんっ、花!どれが飾れそうか一緒に見ようよ!」

「う、うんっ!」


急いで衣吹さんのもとに行き、あたしから漂うフェロモンをみんなから遠ざける。


神楽さんも急かすように幹部の人達を連れて中に入って行く。



あとは衣吹さんの会話に合わせてやり取りを始めるだけ。

不審に思われないように、出来るだけ自然体に。


神楽さんと幹部の人達が奥の方へ消えていくのを確認して、力が抜けたようにあたし達はその場に座り込んだ。



「セーフ」

「あ、ありがとう。衣吹さん」


衣吹さんの方を向くと、なぜかニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。



「神楽にドキドキしたらフェロモン出すんだ?」


今まで見てきた中で1番悪い顔。

“今からイジワルします”って顔に書いてある。