名残惜しいけど。
「また来ますね!」
そう伝えてお花屋さんを後にした。
「俺が知らねぇ間に羽瑠も成長してんだな」
「え?」
唐突すぎる言葉に、あたしは目を丸くした。
「いつの間に友達作ったんだ?」
「え?あ……と、」
そうやって真っ直ぐ見られると恥ずかしくて。
パッと視線を逸らした。
「病院行ったときに、ハンカチ拾ってもらって……それから仲良くなったんです」
「ふぅん」
顔が暑いのは、日差しのせい?
それとも……。
「羽瑠」
コソッと耳打ちするように神楽さんが声を出せば、ドキッと心臓が跳ね上がる。
「走れるか?」
「え?」
振り向こうとしたら───。
「振り向くな」
そんな声が聞こえて、慌てて前を向き直す。
「後つけられてる」
ドクリと心臓が嫌な音を立てた。