「知り合い?」
神楽さんがコソッと聞いてきた。
あたしが「はい」と返事をすれば、お姉さんに向かってペコッと頭を下げる。
視線を神楽さんからお姉さんに移し変えて。
ギュッと自分の胸の辺りを掴んだ。
「お姉さん……あの時はごめんなさい……あたし、助けられなくて……」
ずっと後悔してた。
何も出来なかったって。
シュンッと眉毛を下げれば、おでこをツンと突かれた。
「へ?」
「もう忘れたわ、そんなこと」
突かれた反動で顔を上げると、笑顔のままのお姉さんが視界に飛び込んでくる。
「私が覚えてるのは“太陽みたいに温かくなって───”」
「わーーー!!」
あたしは慌ててお姉さんの口を押さえた。
神楽さんがいる前でそんな話は恥ずかしすぎる。
黙っておくように、小声でしーっと人差し指を立てた。