ギュッと目を閉じれば、お嬢が俺の背中に手を回してきた。
は?それはマズいだろ。
阻止しようとしたけど、今よりずっと力を込められるから。何事かと離れるのをやめた。
解こうとすれば簡単に解ける。
でも……お嬢が泣いていたから。
そのままでいよう、と。
「……バカ……ずっと辛かったんだからっ……」
「……うん、ごめん」
あんな姿のお嬢に、嬉しい。なんて……、どうかしてる。
気が強くて“かっこいい”の言葉が1番似合ってるお嬢。
なのに、時折見せる弱い部分に、どうしても俺のある部分が守りたいって騒ぎ出す。
俺……ずっとお嬢の事が───。
「好き」
…────は?
「好きなの、敦雅のことが」
びっくりした。
俺の声が漏れたのかと思った。