「ち、違うっ……!」

「何が違うんだよ……」

「私がΩじゃなかったら……βだったら……敦雅を苦しめることはなかった……」

「それを哀れんでるって言うんだよ……!!」


ギリッと畳に爪を立てた。


「お嬢に手を出した時……どんな思いだったか知らねぇだろ……」


そのままお嬢から離れた。

こんな顔、見せたくない。



「絶望だよ。組長の愛娘に取り返しのつかない事をしたって」


情けなさすぎて笑いが出る。


組長を裏切ったと同然な行為だ。



「で、でもっ、何もしてないって……私はそう聞いたよ?」

「触れたよ。お嬢の肌に」


まずいと思ってんのに身体が言うこと聞かなかった。

誰か助けてくれって。来てくれって。


ずっと叫んでいた。



駆けつけた組長に殴られて、やっと我に返ることが出来た。