あのとき感じた敦雅さんの違和感も、目を逸らす衣吹さんも。

今、辻褄が合った。



ずっとずっと、過去のことが引きずられてる。



もし、あの時。

神楽さんがいたら。

敦雅さんと一緒にいなかったら。



2人の間に、深くて大きな溝はなかったかもしれない。



「ねぇ〜も〜。だから何で羽瑠ちゃんが泣くのよ〜」

「だってぇ……」


こんなの嫌だもん。

直接の関わりがなくても、第三者を使って2人は心配しあってる。

お互いを大切にしてる。


こんな……すれ違ったままは嫌だよ。



「拗らせすぎちゃったから今更好きとか……ね?」

「あ、あたしがなんとかする!!」

「え?」

「昔みたいに話せるようになんとかするから。だから諦めないで……!」


今度はあたしが衣吹さんを助ける番。

力強く衣吹さんのことを見つめれば、目を細めて照れくさそうにハニカんだ。


「その気持ちだけで十分なんだけどなぁ」