無理だ……伝えるなんて。


あたしは、この世界でいらない人間。


生きる価値なんて……無い……。



「……っ……」


声を押し殺して、涙を流す。


あの時……やっと楽になれると思ったのに……。


「大丈夫、嫌だったら思い出さなくていいよ。ゆっくりでいい。大丈夫だから」


優しい声色と、ギュッとあたしを抱きしめる女の人。

いろんな感情がせめぎ合って、涙が止まらなくなる。


あたしは……そんな……優しくされる価値なんてないのに……。



「あたし……お義母さんの息子……弟を……誘惑しちゃったの……」


新しい家族になって初めてヒートが来て。

お義母さんと弟は、あたしがΩだって知らなくて……あたしも弟がαだって知らなかった……。


「……やられたの……?」

「……」


頭を横に振った。