もしかしたら誰かいるのかなって思ってたけど、居間はシーンと静まり返っていた。
「ん」っと、神楽さんに促されて椅子に座る。
「だいぶ腫れてんな」
即席で作ってくれた氷嚢を頬に当てると、思った以上に冷たくて。
すぐに頬から遠ざけた。
「痛むか?」
「う、ううん。冷たくてびっくりしただけです……」
神楽さんと2人っきり。
そんなのいつものことなのに、睦美さんがあんなこと言うから……。
『羽瑠ちゃんの恋路を邪魔しちゃまずいから。2人でごゆっくり♡』
さっきからドキドキと心臓が騒がしい。
火照る顔も一緒に冷ますように、ゆっくりと氷嚢を当てた。
「……」
「……」
う、うぅ。
静かなせいで、あたしの心臓の音がやけにはっきり聞こえる。
恥ずかしい。
神楽さんには聞こえてないよね……?