それは、夏のとある日の朝のこと。
「気になるの?」
視界を隠すように、あたしの顔を覗き込む衣吹さんと目が合う。
「うん、ちょっとね」
居間にある大きなテレビ。
箸を止めて、あたしはそれに釘付けになっていた。
その内容は“今晩、ペルセウス座流星群が最も多く見られる”と言うものだった。
「神楽は見たことある?流れ星」
あたしを挟んで左側。
衣吹さんは身体をこっちに寄せて、身を乗り出す。
「まぁ」
「え、あるの!?」
「だいぶ昔にですよ」
興奮気味の衣吹さんを耳で聞き、もう1度テレビを見る。
そこには去年の映像が流れてて。
何個も何個も飛んでいく流星群はとても綺麗だった。
「いいな……」
ポツリとそう呟いた。
ほぼ無意識。
なのに2人はしっかりあたしの声を聞き取ったみたいで、同時に名前を呼ばれたんだ。