「……怖い、夢……見てた気がします……」


詳しくは覚えてないけど……なんだか嫌だった。


遠くの方でゴロゴロと音が聞こえる。



「雷が鳴ってるから?」

「……それも、あるかもしれません」

「……」

「……」


キュッと布団を握りしめた。

無言になれば、雨の音がやけに鮮明に聞こえる。



「今日はいろいろあったからな」


ポンッとあたしの頭の上に神楽さんの手が乗った。


「疲れてんだろ」


優しく撫でる手と、声色に、満たされるように胸がキュンとする。


だけど全部は満たされない。



神楽さんに触れてほしい。


無くなった温もりを足してほしい。




「……っ」


神楽さんのことを見つめた。


もし、あたしがここでお願いしたら、神楽さんはどうする?


触ってくれる?

満たしてくれる?