一度流してしまうと止まらなくなって、どんどん涙が溢れてくる。



「羽瑠は優しすぎるんだよ」


いつの間にかそばに来ていた神楽さんが、あたしの頭を優しく撫でた。

それが追い討ちをかけるようで。


崩れ落ちるように座り込んだあたしは、そのまま泣いてしまった。


神楽さんには本当のこと何も話せなかったけど、それでもずっと頭を撫でてくれたんだ。







   ♢♦︎♢♦︎♢


「……──る」


真っ暗な暗闇の中、どこかで声がした。

遠くの方で聞こえるそれは、何なのわからない。



「羽瑠」


今度ははっきりと聞こえて、パッと瞼を開けると神楽さんが覗き込むようにあたしを見ていた。



「!?」


びっくりして思わず起き上がる。



「大丈夫か?うなされてたぞ」

「えっ……」


そう言われて初めて気付いた。

自分が汗をかいていたことに。