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戻りゆく意識の中、パッと瞼を開ける。


あ、れ……ここは……?

暗い……夜、なの?


いつの間にか布団の中にいるあたし。



目が覚める前の記憶が思い出せなくて。


ぐるりと辺りを見渡して、近くにいる女の人にびっくりした。


その女の人は壁に寄りかかったまま動かなくて、あたしは布団を被ったまま彼女に近づく。



「……」


寝てる?


長いまつ毛に、ふわりとカールがかかった茶色の髪の毛。

月明かりに照らされてキラリとピアスが光った。


綺麗な人……。



「目、覚めた?」


突然瞳が開いて、びっくりしたあたしは思いっきり後ずさる。


「怖がらないで。私は何もしないよ」


優しく囁くような声と、無理やり近付こうとしない女の人に……あたしは逃げるのをやめた。