それを知っている衣吹さんが……今、1番苦しいはず。



「大丈夫、」


全然気にならないって言ったら嘘になる。

どこか、ぽっかり穴が空いたみたいな、そんな感じはあるけど、泣いてる衣吹さんを見たくないから。

あたしまで悲しくなるから。



「あたしはもう、大丈夫だから」


嘘じゃない嘘をついた。



「もう泣かないで。衣吹さんが泣いてるとあたしまで悲しくなっちゃう……またどこかに遊びに行こ？リベンジしよ？だから笑って？」


思い付く言葉をひたすら並べた。

どうやったら泣き止んでくれるかなって。



そしたらギュッと抱きしめられたんだ。


「ごめんね、ごめんねっ。もう間違えないから……！」


子供みたいにボロボロと涙を溢す衣吹さんの顔はぐちゃぐちゃだったけど、それくらい後悔してるんだって痛いくらい伝わった。

だからあたしも力一杯抱きしめ返した。


この気持ちが伝わるように。