「お前これから何するんだ?」
「神楽さんの仕事っす」
まるで何も無かったように進められる会話に、見間違いだったのかと錯覚しそうになる。
「気を付けろよ。バレたら即終わりだ」
「はい」
一礼して、去って行く後藤さんの後ろ姿を見つめる。
バレたら即終わりって……何をしてるんだろ……?
「羽瑠。何してんだ行くぞ」
振り返れば少し先の方まで進んでいた神楽さんに、あたしは慌てて後を追いかけた。
♢♦︎♢♦︎♢
神楽さんは襖の近く。
あたしは窓の近く。
まるで監視されてるような感覚に、窓の外を眺める。
バチバチと窓に打ち付ける雨は、すぐに水滴となって下へと落ちていく。
「羽瑠、いるか?」
この声……敦雅さんだ。
チラッと神楽さんを見るけど、反応するどころか顔も合わなかった。