「今日1日は羽瑠と一緒にいろ」
その言葉にまたドキッとする。
「もちろん、そのつもりです」
“大丈夫”って言いたかったけど、この雰囲気とさっきの出来事から断ることも出来ず、受け入れるようにその場に留まった。
「失礼します」
軽く頭を下げた神楽さんはあたしの腕を引いて歩き出す。
部屋を出る際に、チラッと衣吹さんのことを見たけど、俯いたままで顔色は伺えなかった。
だけど……背中がすごく寂しそうに見えたんだ。
「……」
「……」
無言のまま廊下を進む。
なに、話せばいいんだろ……。
あたしの腕を掴む、骨ばった手をぼんやりと眺める。
そしたら急に神楽さんが振り返るから、あたしは慌て顔を上げた。
「部屋戻るだろ?」
「あ……はい……」