「あ……ご、ごめっ……部屋から、出て……ごめ……なさ……」
怖い。
お願い。
言うこと聞くから、部屋に戻るから……叩かないで……。
「お父さんも神楽も出てって。とくに神楽。ここにαがいるべきじゃない」
「うっ……ぅ……」
熱い……苦しい……。
「手にナイフを刺して痛みで感情殺さなきゃ……意識、保てないんでしょ?早く出てって」
ギュッとあたしを抱きしめてくれる女の人。
「大丈夫。私はあんたの味方だよ」
頭の中、ぐちゃぐちゃで。
視界がぼんやりとして何をくれたのか見えない。
「これ、抑制剤。飲みな?少しは楽になるよ」
言われるがまま、されるがまま、薬を飲まされて意識がぼんやりとする。
「大丈夫。もう男はいない。私も同じΩだから安心して」
ギュッと力いっぱい抱きしめる力と、優しい声色に、あたしはそのまま意識を手放した。