「や、やめてくださいっ……!」


守るようにギュッと衣吹さんに抱きついた。

こんなの見たくない。



「衣吹さんばっかり責めないでください……あたしだって神楽さんに秘密にしてましたっ……」


衣吹さんはあたしの為にいろいろ考えてくれた。

お義母さんが怖いって言ったら、少しでも怖くなくなる方法を考えてくれた。


あたしの気持ちを優先してくれた。



「衣吹さんは……悪くないです……」


ギュッと抱きしめる腕に力を入れる。


怒られるなら2人一緒だ。

そうじゃなきゃフェアじゃない。





「落ち着け」


低く、淡々とした組長の声が鼓膜を抜ける。


途端にそこにあった険悪な空気が一変するのがわかった。



「過ぎた事をとやかく言うつもりはない。だが、各々思う事もあるだろう」

「……」

「……」