「や、やべぇって……!」

「バックにこんな人いるなんか聞いてねぇよっ!死んじまうっ……!!」


恐怖に慄く声が響き渡る。

それだけであたしの身体も身震いしてしまう。


今。この向こうで、神楽さんはとんでもないことをしてるんだ。


それを見せないために後藤さんはあたしに目隠しを……。




「なぁ。俺言ったよな?“接触は許さねえ”って」

「うっ、ぐ……」

「さっさと失せろ。二度とその面見せんじゃねえ」


バタバタと走り去る音と共に、悲鳴に近いような声を聞いた。


それらが聞こえなくなった瞬間。

あたしの視界に光が入り込む。


だけど視界に入ったものは、全てがいいものじゃなくて。


床に付着した血液。

動画を撮っていたであろう、バキバキに壊れたスマホ。



そして、


───神楽さんの手の甲に付いてる血痕。