匂いがどんどん濃くなって、鼻を押さえないとヤバいくらい。
「後藤!お前はこっちに来るな!」
「えっ……だ、大丈夫なんすか神楽さん!」
「至急、組長に伝えてくれ!あの少女はΩで───……」
あの女子高生の言葉が脳裏に浮かんだ。
『私、見ちゃったの。小林さんの秘密……』
『遅刻してるのも早退するのもΩを隠すため』
『小林さん、ヒートになって別の部屋に連れていかれるの見ちゃったの』
「……───今しがたヒートになった」
ギリッと力一杯拳を握り、額から汗が流れる。
「……っく……」
痛みで理性保ってねぇとやべーな。
久しぶりにくるぜ……この匂い……!