「ありがとうございました」
ペコリと頭を下げて診察室から出る。
まだお昼前だと言うのに、待合室には人が多かった。
お母さんと一緒に来たのか、中にはセーラー服を着た女の子だっている。
もしかしてこの子、第二の性を知ったのかな……?
……Ω専用の病院だもんなぁ。
今日は抑制剤を貰いに婦人科に来た。
ここの先生は女の人だけど、α性の持ち主。
だけど番を持ってるから他の匂いに反応しないし、看護師さんはΩ性がほとんどで診察に来たΩのフェロモンにやられることは無いらしい。
他の婦人科だとβ性の看護師さんがいたりして、匂いに反応したって言うのを聞いたことがあるけどここはΩの為の婦人科。
第二の性を重んじる病院なのだ。
一息つこうと、水槽の中で泳ぐ小さな魚達を眺めている時だった。
「あの……」
ロングヘアの綺麗なお姉さんがあたしの前に立っていた。
えっと……。
この人覚えてる。